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2025.09.17
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偏光顕微鏡によるアスベスト定性分析の原理

(JIS A1481-1準拠)

  1. 偏光顕微鏡の原理

自然光は進行方向(z軸)にまっすぐ進みますが、同時に電磁波であるため、進行方向と直交するx軸・y軸方向にも振動しながら伝わります。
この自然光を「偏光板」や「鋭敏色板」などのフィルターに通すことで、特定方向に振動が揃った「偏光」を作り出します。
偏光顕微鏡は、この偏光を試料に通し、アスベスト繊維特有の光学的性質を観察する仕組みです。

  1. アスベスト観察の評価ポイント

JIS A1481-1に基づく偏光顕微鏡分析では、アスベスト繊維の以下の6つの特性を観察します。

  1. 形態(Morphology)
  2. 色・多色性(Color & Pleochroism)
  3. 複屈折(Birefringence)
  4. 消光特性(Extinction Character)
  5. 伸長の符号(Sign of Elongation)
  6. 屈折率(Refractive Index)

これらの組み合わせにより、種類ごとに異なるアスベストを判別可能です。

  1. 形態の観察(ステップ①)
  • 観察条件:光源と試料の間に偏光板を1枚挿入(オープンニコル)
  • 観察対象:繊維の形態・長さ・アスペクト比

特徴

  • クリソタイル(白石綿)
    クネクネと曲がった繊維形態を示す。
  • アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)、その他角閃石系
    比較的直線状の繊維が多い。

JISで定義される「アスベスト様形態」

  • 長さ:5µm超
  • アスペクト比(長さ/幅):20:1以上
  • その他、束状・針状の形態
  1. 写真例(400倍観察)
  • 写真1:クリソタイルの形態(湾曲した繊維)

  • 写真2:アモサイトの形態(直線的な繊維)